なぜIoT×AI水耕栽培なのか
日本の食料自給率は38%(2023年度、カロリーベース、農林水産省)。気温上昇や物流の不確実性により、食料供給のリスクは年々増大しています。一方で、水耕栽培は天候に左右されず、水使用量を80-90%削減でき、農薬を使わずに通年で安全な作物を生産できます。
Optiensは、この水耕栽培にIoTセンサーとAIを組み合わせることで、1人でもスケールできる農業モデルの構築を目指しています。
循環式水耕栽培システムの設計
4段メタルラックを使った循環式水耕栽培システムを設計しました。
システム構成:
- 4段目: LED植物育成ライト(フルスペクトル)
- 3段目: 育苗トレイ(栽培段)— 養液が流れ、植物の根に栄養を届ける
- 2段目: 3段階ドリップフィルター — 養液の濾過・酸素供給
- 1段目: 20Lバケツ(養液タンク)+ ポンプ + EC/pHセンサー
ポンプが養液をタンクから栽培段へ送り、植物の根を通過した養液はフィルターを経てタンクに戻ります。水と養液を循環利用するため、廃棄が最小限です。
IoTセンサーによる24時間モニタリング
Raspberry Pi 4B 2台とセンサー群で栽培環境を24時間モニタリングする構成を設計しています。
計測項目:
| センサー | 計測対象 | 接続方式 |
|---|---|---|
| EC基板 + ECプローブ | 養液の電気伝導度 | アナログ → MCP3008(SPI) |
| pH基板 + pHプローブ | 養液のpH | アナログ → MCP3008(SPI) |
| DS18B20 ×5 | 水温(複数ポイント) | 1-Wire(GPIO) |
| DHT22 | 気温・湿度 | GPIO |
| MH-Z19C | CO2濃度 | UART |
| BH1750 | 照度 | I2C |
センサーデータはMQTT(Mosquitto)で集約し、Supabaseに蓄積。ダッシュボードでリアルタイム可視化します。
AI制御: Claude Code × MCP
本システムの特徴は、Claude Code(AI)をMCP(Model Context Protocol)で直接接続している点です。
- センサーデータのリアルタイム取得・分析
- 養液濃度・光量・温度の最適値をAIが判断
- ポンプ・LED・ヒーターの自動ON/OFF制御
- 異常検知時のアラート通知
- iPhoneからの音声操作に対応
例えば「今の養液のEC値は?」「LEDを16時間点灯に設定して」といった自然言語での操作が可能です。栽培データが蓄積されるほどAIの判断精度が向上し、品種別の最適栽培レシピが自動的に構築されていきます。
スマートスイッチによる制御自動化
Zigbee 3.0対応のスマートスイッチとリレーモジュールで、以下のデバイスを自動制御します。
| デバイス | 制御方法 | スケジュール |
|---|---|---|
| ポンプ(DC12V) | リレーモジュール | 15分ON / 45分OFF |
| LEDライト | Zigbeeスマートスイッチ | 16時間ON / 8時間OFF |
| USBヒーター | RPi USB制御 | 水温18°C以下で自動ON |
Zigbee2MQTTを介してRaspberry Piから一元管理。手動操作は不要です。
生産品目
Phase 1ではバジルとマイクログリーンに注力します。
- バジル: 高単価(100gあたり200-400円)、レストラン需要が安定、水耕栽培と相性が良い
- マイクログリーン: 播種から収穫まで7-14日の高回転、栄養価が高く需要拡大中
今後の展望
現在はPhase 1(自宅テスト栽培)の段階です。IoTシステムの安定化と栽培データの蓄積を進め、Phase 2では山梨県北杜市の空き家・廃校等の遊休施設を活用した本格生産を開始する予定です。
テクノロジーで農業の仕組みを変える。その第一歩を、メタルラック1台から始めます。