AI で自動化できた業務/できなかった業務 ── Optiens 社内の実例リスト


AI で自動化できた業務/できなかった業務 ── Optiens 社内の実例リスト

「成功事例」だけを並べる記事は信用できない

AI 活用の記事には、成功事例だけが並んでいることが多い印象があります。けれども実務では「AI で試したが、結局人がやった方が早かった」「コストに見合わなかった」という結果も日常的に発生します。

本稿は、Optiens(合同会社、代表 1 名体制、Phase A1)が社内業務で AI 活用を試した実例を 成功・失敗の両方 で公開するものです。Optiens は AI 支援を本業としているため、社内が AI 活用の最前線であり続ける必要があります。その過程で見えた 「AI が効く業務/効かない業務」 の境界線を共有します。


✅ 自動化に成功した業務

1. ブログ記事のドラフト生成

  • 概要: 候補リストからテーマを選び、生成 AI に構成案 → 本文ドラフトを書かせる
  • AI: 大規模言語モデル(生成 AI)+ 社内ナレッジ(CLAUDE.md ファイル・過去記事)
  • 削減効果: 1 記事あたりの執筆時間を 3〜4 時間 → 30〜60 分 程度に圧縮
  • 人がやること: テーマ選定、ファクトチェック、トーン調整、最終編集
  • 学び: 構成・表現の引き出しを AI が大量に提案できるため、執筆の心理的負担が大幅に減る

2. 議事録・打合せメモの構造化

  • 概要: 録音または手書きメモを AI に読ませ、論点・決定事項・ToDo を抽出
  • AI: 大規模言語モデル
  • 削減効果: 議事録作成 30 分 → 5 分の確認作業
  • 人がやること: 録音の取り扱い、機密情報のチェック、要点の確認
  • 学び: AI が苦手な「言外のニュアンス」は人が補うが、構造化された情報整理は AI が圧倒的に速い

3. ブログ/ウェブサイトの整合性チェック

  • 概要: 数十本ある社内文書・サイトページの間で数値・固有名詞・方針記述に矛盾がないかをチェック
  • AI: コード生成系 AI + grep 等のツール統合
  • 削減効果: 全ページ目視確認 1 日 → AI による横断チェック数十分
  • 人がやること: 不整合検出後の判断、修正方針の決定
  • 学び: 人間の集中力では難しい「大量文書の横断的整合性」は AI が圧倒的に得意

4. 業務専用 UI の自社構築

  • 概要: 業務に必要な小さな管理画面(CRM、申込管理、メモ管理など)を、AI コーディング支援を使って数日〜1 週間で構築
  • AI: コード生成系 AI(クラウド開発支援)
  • 削減効果: 既製 SaaS 月数万円 → 自社専用画面の初期構築コストのみ
  • 人がやること: 業務要件の整理、画面設計、運用検証
  • 学び: エンジニアでない経営者でも、AI と対話しながら専用 UI を組める時代になった

5. 法人会計仕訳の前段処理

  • 概要: 領収書・請求書を AI に読ませて、勘定科目候補・摘要を提案させ、会計ソフトに連携
  • AI: 大規模言語モデル + 会計ソフト API
  • 削減効果: 月次仕訳作業を 大幅短縮(最終確定は税理士の確認を経る)
  • 人がやること: 内容確認、税理士への共有、最終承認
  • 学び: 「下書きの自動化」は AI の得意領域。最終判断は人と専門家が行う

❌ 試したが断念した/うまくいかなかった業務

1. 顧客との初対面の関係構築

  • 試したこと: 商談前のアイスブレイク文・自己紹介テンプレートを AI に作らせる
  • 問題点: AI が生成した自己紹介は「正しいけど薄い」。表面的に整っているだけで、関係構築には機能しなかった
  • 学び: 人と人の信頼形成は、文章の正しさより その場の即興性・誠実さ が必要。AI は補助にもならなかった
  • 現状: AI を使わず、CEO 本人が肉声で行う

2. 補助金の「採択される」申請書作成

  • 試したこと: 補助金公募要領を AI に読み込ませ、申請書ドラフトを生成
  • 問題点: AI は要領を要約することは得意だが、「審査側が知りたい論点」「過去の採択傾向」「事務局の言外の期待値」を反映できない
  • 学び: 補助金申請は 「文書作成タスク」ではなく「相手の意図を読むタスク」。AI 単独では浅い文書しか作れない
  • 現状: 専門家(中小企業診断士・行政書士等)と相談しながら進める方針

3. リアルな営業判断(誰にいつ連絡するか)

  • 試したこと: 顧客リストと過去のやりとりを AI に渡し、「次に連絡すべき人」を提案させる
  • 問題点: AI の提案は「データ上は正しい」が、業界の慣習・先方の社内事情・タイミング感覚が反映されない
  • 学び: 営業の判断は、データに表れない情報(噂・社内政治・季節要因)が決め手になる。AI の提案は参考程度
  • 現状: AI は情報整理に使い、判断は人が行う

4. クリエイティブな新規事業のコンセプト設計

  • 試したこと: 事業案のブレインストーミングを AI と行う
  • 問題点: AI は「常識的に正しい案」しか出さない。革新性のある案・市場の盲点を突く案は出てこない
  • 学び: AI は 既存パターンの組み合わせ は得意だが、真に新しい発想 の生成は不得意。創造的な領域は人の役割
  • 現状: AI は案の整理・検証に使う。発想は経営者本人が行う

5. 顧客への「断り」のコミュニケーション

  • 試したこと: 受けられない依頼への断りメールを AI に書かせる
  • 問題点: AI が書く断り文は 正しすぎて冷たい。関係性を残しつつ断る、という人間関係の機微が出ない
  • 学び: ネガティブなコミュニケーションは、人間味と誠実さ が最重要。AI ドラフトをそのまま使うと関係を損ねる
  • 現状: 重要な相手への断りは、CEO 本人が時間をかけて書く

5 つの境界線 ── AI が効く/効かない業務の判別基準

成功・失敗の実例から、Optiens では以下 5 つを判別の軸にしています。

境界線 1: パターン化できるか

  • できる → AI が得意(ブログドラフト・議事録・仕訳)
  • できない → 人が必要(営業の即興判断・新規事業発想)

境界線 2: 「正しさ」が目的か、「関係性」が目的か

  • 正しさ → AI が得意(情報整理・整合性チェック)
  • 関係性 → 人が必要(顧客との信頼構築・断りのコミュニケーション)

境界線 3: 大量処理か、個別対応か

  • 大量処理 → AI が得意(数十本の文書の横断チェック)
  • 個別対応 → 人が必要(重要顧客との折衝)

境界線 4: データに表れる情報か、表れない情報か

  • データ → AI が得意(数値分析・異常検知)
  • 言外の情報 → 人が必要(業界の慣習・社内政治・タイミング感覚)

境界線 5: 既存パターンの組み合わせか、真に新しい発想か

  • 組み合わせ → AI が得意(提案書ドラフト・記事構成案)
  • 新発想 → 人が必要(事業コンセプト・革新的な意思決定)

中小事業者へのメッセージ

AI で「できた業務」と「できなかった業務」を両方見ることで、はじめて AI 活用の解像度が上がります。

「AI で何でもできる」も「AI なんて使えない」も、どちらも実務の現実から離れています。業務単位で、向き不向きを冷静に判別する ── これが AI ネイティブ経営の入口です。

Optiens は、自社で実際に AI 活用を試行錯誤した知見を、お客様の業務に翻訳してご提供します。


まとめ

  • 自動化に成功した業務: ブログドラフト・議事録・整合性チェック・業務 UI 構築・仕訳前段処理
  • 断念した業務: 関係構築・補助金申請・営業判断・新規事業発想・断りコミュニケーション
  • 5 つの境界線: パターン化、正しさ vs 関係性、大量 vs 個別、データ表れる情報 vs 言外、組合せ vs 新発想

成功事例だけでなく 失敗事例も公開する ── これが、AI 支援サービスを提供する事業者として最低限の誠実さだと考えています。


御社の業務でも、自動化できる領域とできない領域を一緒に整理しませんか。Optiens の無料 AI 活用診断で、最初の 1 業務から見極めをご提案します。